幼なじみはエリート潜水士
他の社員は、関わりたくないと思ってる雰囲気なのは明白だ。
しかたないと自分に言い聞かせてはいるけど、不快な気持ちが顔に出てしまう。
そんな矢先、課長が私に向かって……
「おやおや? 村本さん、鬼のような怖い形相をしてると……」
「私ですか? 何でしょう……」
「せっかくの美人が台無しだよ! なはははははっ!」
好き勝手なことを言った後、気持ちの悪い高笑いをしながら立ち去っていく。
その後ろ姿を見ながら、眉を顰めて大きな溜息。
私、村本 奈々(むらもと なな)は憂鬱な気持ちでいっぱいだ……
大学を卒業して、大手と肩を並べる商社に入社。
あれから数年、仕事には慣れてきたけど人間関係で悩んでる。
他の部署にいる、同期で同じ歳の人たちに相談したいけど……
みんな、それぞれの場所で悩みを抱えてるので打ち明けられない。
イライラした気持ちを落ち着かせるため、私は席を立つ。
フロアを離れ、廊下を歩いた先にある自動販売機コーナーへ足を向けていた。