幼なじみはエリート潜水士

 海の中に落ちてしまった私。


 岩場の複雑な地形のせいで、海流は複雑な流れをしてる。

 足下は薄暗い海底、私は必死になって、もがくように泳ぐ。

 明るい海面に向かうけど、服が重くて体の自由がきかない。


 息もできず、苦しい中で思わず差し出した右手。

 その時、海面へ向けて伸ばした私の手が力強く握られた。


「ハルくん……」


 体育の授業は成績優秀、体力自慢で泳ぎが上手な彼が視界に入った。


 息ができなくて苦しむ私の腰に腕を回し、海面へ向かおうとしてる。

 でも、小学生のハルくんが、私を抱きかかえて泳ぐなんて無理だよ。


 私を見捨てて、海から上がって!

 そう伝えたくても、彼は必死に海面を目指してる……


 なんとか岩場に捕まり、二人とも海面から顔を出すことができた。

 でも、背中に打ち付ける波の勢いと、滑る岩場に苦戦して上がることができない。



 そんな状況でも、ハルくんはけっして諦めなかった……



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