幼なじみはエリート潜水士
「サトちゃんの香水だって、歩いてるだけで誰だか見分けがつくよ」
「やだ、それって褒めてるの! うれしい!」
「まあ、そんなところかな?」
遠回しに、香水の臭いがキツイって言ってるけど本人は気づいてない。
佐藤さんこと、サトちゃんは天然で残念系のポンコツ女子だけど……
男の人にすごくモテる。
甘ったるい話し方と、異性でも関係なく気軽にボディタッチして親しく接するので人気があるみたい。
男性社員との恋愛話が絶えない、恋に恋する乙女でもある。
「サトちゃん」
「どうしたの奈々ちゃん?」
「今、私にしてること、うちの課長にもできるかな……」
私の言葉を聞いて、サトちゃんはバックハグしたまま固まってる。
少しの間を置いてから、凄い勢いで言ってきた。
「ハゲた課長に……ムリムリムリ、ぜったいにムリだよ~っ!」
課長の名前は、葉下田(はしただ)だけど……
みんな陰で、ハゲた課長って言ってる。
頭髪が薄いだけじゃなく、脂性なので室内照明に反射して頭皮がピカピカしてるのだ。
「あんのセクハラ課長! あたしがガツンと言ってやるわよっ!!」