幼なじみはエリート潜水士

 港を離れて、スカイツリーが見えた。

 お台場を横目に、レインボーブリッジの下を大型クルーザーがくぐり抜けてく。


 湾岸エリアを抜けて東京湾へ。

 羽田空港や横浜の景色が視界に広がる。


 東京に住んでるけど、港や海を避けていた私。

 人混みや交通渋滞、電車の混雑から一歩離れた場所にこんな世界があるなんて知らなかった。


 塩風と磯の香り、カモメの鳴き声を耳にしてると、幼少のころを思い出してしまう。


「ハルくん……」


 都会を離れた港町で、幼なじみのハルくんと楽しく過ごしてた。

 あの頃は時間の流れもゆっくりしてて、穏やかな日々だったよ。


 陸地を離れ、船は沖へと向かっていく。

 少し離れた場所に似たような大型クルーザーがたくさん停泊してる。

 その中に私が乗る船も近づいて動きを止めた。


 波の影響で上下左右に小さく揺れる船体。

 この海域は、魚がよく釣れるポイントだって専務が話してる。



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