幼なじみはエリート潜水士

「この前、すごいスピードで追い越されたクルーザーだよ!」


 すぐ横を、同じ大きさのクルーザーが挑発するように通り抜けてく。


「あのやろう!」


 専務がそう叫ぶと、急いで運転席に移動。

 船を急発進させて、凄い勢いで挑発してきたクルーザーを追いかけてく。

 エンジンも全開、風と波を切りながら船のスピードを上げる。


「サトちゃん、これってなんなの……」


 力ない声で私が聞くと、嘲笑いながら教えてくれた。


「先週、この海域で競争してて専務が負けちゃったの。そうとう悔しかったみたい」


「そんな……」


 大型クルーザー同士でスピード競争?

 えっ、サトちゃん先週も専務とこの船で一緒だったの?

 なにそれ?



 ひどい船酔いのせいで、私の思考が低下していく……



< 56 / 80 >

この作品をシェア

pagetop