幼なじみはエリート潜水士
「この前、すごいスピードで追い越されたクルーザーだよ!」
すぐ横を、同じ大きさのクルーザーが挑発するように通り抜けてく。
「あのやろう!」
専務がそう叫ぶと、急いで運転席に移動。
船を急発進させて、凄い勢いで挑発してきたクルーザーを追いかけてく。
エンジンも全開、風と波を切りながら船のスピードを上げる。
「サトちゃん、これってなんなの……」
力ない声で私が聞くと、嘲笑いながら教えてくれた。
「先週、この海域で競争してて専務が負けちゃったの。そうとう悔しかったみたい」
「そんな……」
大型クルーザー同士でスピード競争?
えっ、サトちゃん先週も専務とこの船で一緒だったの?
なにそれ?
ひどい船酔いのせいで、私の思考が低下していく……