幼なじみはエリート潜水士

「なんだろう、すごく寒気がする」


 体が冷えて、悪寒を感じてしまう。

 私はいつから、この場所に座っていたのだろう。


 勇気を出し、立ち上がってみようと思ったけど……

 もしかしたら、深い水の中に体が沈んでしまうかも……

 そう考えたら、幼少の頃に経験したトラウマが脳裏に浮かんできた。


「ハルくん……」


 暗闇の中でも確実に分かるぐらい、水かさが増してる。

 膝やお尻の辺りも濡れてきた。


 何も状況が分からないまま、私は水の中に沈んでしまうんじゃないのか。

 怖くて身動きはとれない。


 その時、私の太ももに何か堅いものが当たった。


「なんだろう……」


 両手で拾い上げたけど、暗くて何も見えないので色々と手で触ってみる。


「この形、ワインボトルだよね……」


 ゲストルームに置かれた、ワインセラーを思い出す。


「じゃあ、ここは……」



 私が乗り物酔いで休憩してた、ベッドのある船内で間違いなさそう……



< 60 / 80 >

この作品をシェア

pagetop