幼なじみはエリート潜水士

「えっ、なに……」


 足下の光は大きくなってきて、たくさんの泡もブクブクと浮いてくる。

 すごく怖くて、思わず体を竦めてしまう。


 周りが明るくなってきて、私の視界が広がっていく。


 ――その時。


 目前の水面から、丸い物体がポッカリ浮き上がった。

 相変わらず、泡もブクブクして恐怖を感じる。


「……」


 怖くて言葉が出ない、思わず海水で濡れた両手で口元を隠してしまう。

 この狭い空間に、逃げ場はない。

 身を縮めて、現状を見つめることしかできない私。


 ……突然、ブクブクと溢れ出ていた泡が止まった。

 水面から飛び出した丸い物体も上がってく。



「うそ……」



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