幼なじみはエリート潜水士

 ケーキが入った箱を片手に持ち、OLスーツ姿の私は歩き出す。

 パンプスの靴底を鳴らし、焦る気持ちを抑えながらスカートの位置がずれてないか確認。

 髪の毛先に手串を入れて、身だしなみも整える。


「よし……」


 視線の先に、海上保安庁の羽田特殊救難基地があった。


 恐る恐る、室内を覗き見る……

 海上保安庁の中でも、一握りの潜水士だけしか入隊できない、海難救助のエリートたちがたくさんいる。

 オレンジ色のベレー帽に隊員服、胸元に特殊救難隊の文字がある、スゴーイ!


「どうしました、お嬢さん」


「私が、お嬢さん!」


 振り返ると、Yシャツにネクタイをしたステキなオジさまが立っていた。

 お嬢さんなんて言われたから、嬉しくて声が上擦ってしまったよ!


 手に持っていたケーキの箱を、思わず渡してしまったけど、いいのかな?

 オジさまも、首を傾げながら受け取ってくれたし……


「すいません、永井 春樹さんなんですけど……」


「なるほど! だったら、こっちにきて」



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