極上男子短編集
それは常々考えていたことだった。


私の勉強見ながら自分の勉強をするのは、きっと清水くんにとって負担になる。


本人は他人に教えることも勉強のうちだと言っていたけえど、それが本当かどうか私にはわからないなら。


清水くんは少し驚いたように目を見開いて、それからクスッと笑った。


「心配ありがとう。まさかお前に心配されるなんてな」


「なにそれ、どういう意味?」


私がバカだと言いたいのだろうか。


ムッとして清水くんを見ると、「成長したな」と言われて頭をポンッと撫でられた。


不意打ちの出来事で頭がついていかない。


ワンテンポ遅れて頭を撫でられたのだと気が付き、カッと顔が熱くなった。


慌てて視線を下げてバクバクと高鳴る心臓を服の上から押さえた。


「こ、子供扱いしないでよ」


小さな声で呟いて、私は教科書に顔をうずめたのだった。
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