極上男子短編集
「桃は? 桃は恋をしたことがあるの? 三次元の男に!」


「あるに決まってるでしょ?」


当然のようにそう言われてまた頭の中は真っ白だ。


まさか桃が恋をした経験があるなんて思っていなかった。


お互いに根っからのオタクで、現実の男に興味なんてないと思っていたから。


でも、それは私の思い込みだったようだ。


桃はちゃんと現実世界でも異性を好きになってきたのだ。


そう思うとなんだか取り残されてしまった気分になって悲しくなる。


「まぁ、清水くんはいい人っぽいし、いいんじゃないかな?」


「レイア様に似てるし?」


「それもあるけど、でもそれは本人には言わない方が良いよ?」


「そうなの?」


真剣な顔で助言してくる桃に私は首をかしげる。


レイヤ様に似ているなんて光栄なことだと思うのだけれど、一般的にはそうじゃないんだろうか。
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