極上男子短編集
けれど、今日の私はアニメくらいじゃ気持ちが湧き上がることもなかった。


一応「ありがとう」と笑顔を浮かべたものの、大好きなハンバーグを半分も残してしまった。


頭の中に思い出してくるのは清水くんの冷たい顔ばかり。


私がキスなんてしたから、あんなことになってしまったんだ。


布団に潜り込んだときにまた彼の冷たい顔を思い出して、自然と涙がこぼれてしまった。


手の甲で乱暴に涙をぬぐって布団を頭までかぶる。


仮に清水くんに嫌われたとしても、放課後の勉强時間がなくなってしまったとしても、それはもとの生活に戻るということだけ。


なにも変わるわけじゃないのに、どうしてこんな辛いんだろう……。
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