極上男子短編集
あの時レイヤ様の名前を咄嗟に出してしまったことが原因だとすれば……。


気持ちがはやり始めて私は清水くんの席へ視線を向けた。


しかし彼はまだ来ていない。


「謝りに行かなきゃ」


呟いて自然と席を立った。


校門前で清水くんが来るのを待つつもりだ。


「落ち着いて摩耶。謝るのは清水くんが来てからで遅くないよ。それよりもっと大切なことがあるんじゃないの?」


「大切なこと?」


清水くんに謝罪するより大切なことってなんだろう。


「摩耶の気持ちだよ。摩耶は自分がどうして清水くんにキスしたのか。清水くんとどうしたいのかわかってる?」


その言葉にハッと息を飲み、そして胸の奥からジワリと熱い気持ちがこみ上げてきた。


その気持は私の涙腺を揺るがして今にも涙がこぼれ落ちてしまいそうだ。


「私……清水くんのことが好き!」


最初はレイヤ様に似ているから気になっただけだった。
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