極上男子短編集
「あんなこと、絶対にしちゃいけなかったのに……」


そう言って顔を上げると清水くんは気まずそうに頭をかいた。


「うん、まぁ、そうだけど……」


語尾を濁していて聞き取りにくかった。


だけど清水くんが言いたいとはわかっているつもりだった。


自分が怒っているのはそのことじゃないと、言いたいんだろう。


「それと、あの時咄嗟にアニメキャラの名前を出したけど、本当は……本当はね……」


心臓はドクドクと高鳴って今にも破裂してしまいそうだ。


今まで恋愛アニメを見てきて『さっさと告白すればいいのに』と思ったことは数しれない。


けれど現実の告白がこんなにも緊張するものだなんて、知らなかった。


私はギュッと両手で拳を作った。


さっきから体中が火照ったように熱いから、顔は真っ赤になっていると思う。


それでもここで逃げ出しちゃダメだ。


伝えなきゃいけないことがあるんだから。


「レイヤ様とか関係なく、清水くんのことが好きなの!」
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