極上男子短編集
勢いに任せ、叫ぶように言った。


言ってからしばらく急を止めてはぁっと息を吐き出す。


恐る恐る視線を清水くんへと向けてみると、彼は顔を真赤にして私を見つめていた。


「ごめん。実は俺も杉本さんのこと気になってた」


え……!?


清水くんの言葉が信じられなくて絶句してしまう。


大きく目を見開いて彼を見つめた。


「キスされたときも嫌じゃなかった。むしろ嬉しかったんだ。両思いになれたと思ってた」


そうだったんだ……。


だからあの時怒らなかったんだ。


「でも、アニメキャラの名前を出されたときに、なんだよそれって思った。俺はアニメキャラの代わりにされたのかって」


「ち、違う!」


慌てて否定すると、彼は柔らかく微笑んだ。


「うん。今は違うってわかった。俺、アニメキャラに嫉妬したんだ」


そう呟いて情けなさそうに前髪をかきあげる。
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