極上男子短編集
だから新しいマネージャーはどうしても必要だった。


でも……、と、私は隣ではしゃぐ2人を横目で見て気が付かれないようにため息を吐き出した。


マネージャーはマネージャーでも、ちゃんと仕事をしてくれないと困る。


隣の2人組は頼んだことはやるけれど、ソレ以外のことをしようとはしなかった。


なにをすればいいかわからないときは声をかけてと言っているのだけれど、それもしない。


野球のルールもよくわかっていないようで、得点係をやらせたときには散々な結果になってしまった。


その上、ちゃんと説明していなかった私の責任にされてしまった。


野球好きをアピールして入部してきたのだから、説明の必要があるなんて思ってもいなかったのに。


そんな2人と一緒に仕事をしていても、捗るわけがなかった。


今日も私は2人を先に帰らせて、1人残ってユニフォームを洗濯していた。


ゴォンゴォンと低い音を立てて回る洗濯機の横に座り込み、本を読んで時間をつぶす。


こういうときに会話できる仲間がいればいいなと思っていたけれど、あの2人にはそれも望めそうになかった。
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