極上男子短編集
「そっか」


私の返答に少し驚いたように目を丸くした裕太だけれど、次の瞬間には目元をクシュッと細めて笑っていた。


その笑顔に心臓がドクンッと大きく跳ねる。


裕太と私はお隣さん同士で、生まれたときから知っている。


小学校の頃は一緒にお昼寝をしたり、お風呂に入ったりもした。


そして中学を卒業するころになると、私は裕太に惹かれるようになっていた。


中学2年生までは私とそれほど身長差もなかったし、一緒に遊ぶことに抵抗はなかった。


けれど中学3年生の頃伸び盛りを迎えた裕太はあっという間に私の身長を追い越していた。


今ではスラリとした長い手足を持ち、野球部ではエースとして活躍している。


野球部に入部している生徒たちはみんな短髪で刈り上げているけれど、それでも裕太のキレイな顔は一瞬にして女子生徒たちの心を捉えてしまった。
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