極上男子短編集
「ねぇ、人の話聞いてる?」


ドンッと肩を押されてよろめいた。


でもどうにか倒れないように体制を立て直す。


「あなたたち2人が裕太のことをどう思おうが私は知らない。だけど、裕太の夢の邪魔だけはしないで!」


このとき私は裕太の夢を守ることだけが頭の中にあった。


他のことなんて全然考えられなかった。


だからこんなことが言えたんだ。


「はぁ? なにそれ、ナメてんの!?」


1人が私の前髪を鷲掴みにする。


その痛みに顔をしかめて思わず悲鳴を上げた。


しかしグラウンドにいた生徒たちはすでに全員帰っていて、私の悲鳴に気がついた人は誰もいなかった。


「前からあんたのこと気に入らなかったんだよね。私らがマネージャーになったときだって、上から目線でさぁ!」


前髪を掴まれたままずるずると引きずられるように歩き出す。
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