極上男子短編集

距離を置く

裕太が助け出してくれたお陰で私は風邪を引かなくてもすんだ。


なぜ裕太があんな時間にあんな場所に来たかと言えば、家の親から連絡があったかららしい。


彩奈がまだ帰ってこない。


そう言われた裕太は私のスマホに連絡を入れたけれど、それにも返事はなかった。


おかしいと感じた裕太と私の両親は手分けをして探してくれたようだ。


本当に、裕太には頭が上がらなくなってしまった。


「どうして閉じ込められたりしたんだよ？」


家に戻って温かいお風呂で体を温めた後、私の部屋で裕太がそう聞いてきた。


私は返事ができずにうつむく。


「あの２人が犯人なんだろ？」


「ちょっと、喧嘩しただけだから」


同じ言い訳を繰り返してみたけれど、裕太には通用しなかった。


険しい表情で更に詰め寄ってくる。


「イジメだろ」


「そ、そんな大事じゃないよ」
< 159 / 190 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop