極上男子短編集
☆☆☆

翌日はさすがに野球部に参加するのが憂鬱だった。


また昨日みたいなことがあったら?


裕太にあんな風に言ってしまったことも気がかりだ。


けれど行かないわけにはいかない。


あの2人はマネージャーの仕事をほとんど覚えていないから、私がいなきゃ回らない。


重たい体を引きずるようにして放課後のグラウンドへ向かうと、すでにあの2人は集まっていた。


倉庫前に立ち、私を見た瞬間顔をそむける。


きっと、朝になって鍵が開いている倉庫を確認したはずだ。


もしかしたら、助けてくれた人についてもすでに知っているかもしれない。


私もどういう反応をすればいいのかわからなくて、彼女たちから視線をそらした。


とにかく、今以上に彼女たちの気持ちに踏み入らないようにしないといけない。


刺激をすれば、またなにがあるかわからないから。


そう考えて黙々と仕事をこなす。


ここへ来てからの仕事はもう流れ作業として頭の中に入っていた。


選手たちがグラウンドの準備をしている間に私はボールとバッドを磨く。
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