極上男子短編集
選手たちは次々にこちらへやってきて、タオルを取っていく。


それに追われながらも、私の気持ちはずっと沈んでいたのだった。


「あのさぁ」


部活動が終わり、昨日と同じように1人で洗濯機を回し始めたときだった。


後方から声をかけられて振り向くと、マネージャー2人が立っていた。


絶妙に昨日と同じようなシチューエンションになってしまい、自然と身構える。


また前髪を掴まれて倉庫に閉じ込められるのではないかと思い、カバンを胸の前で抱きしめた。


昨日はスマホをカバンの中に入れっぱなしにしていたけれど、今日はそんなことがないように気をつけないと。


しかし彼女たちはそんな私を見て軽く肩をすくめた。


「昨日の今日で同じように閉じ込めたりしないって」


少し苛立った声で言う。


けれど、雰囲気からして昨日よりもおだやかであることが伝わってきた。


「私になにか用事?」


それでも私はカバンをきつく抱きしめたままで質問をした。
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