極上男子短編集
「でもさ、あの子ってすごい地味だったよね?」


「そうなんだ?」


「そうだよ。このコンテストだって、半分や嫌がらせで参加させられたらしいよ……」


そんな噂話しが聞こえてきて思わず「嘘でしょ」と、呟いた。


だってあの先輩は今とてもキラキラと輝いている。


びしょ濡れになったって、彼女の輝きが損なわれることがない。


見た目だけじゃなく、内側から輝いているのがわかるのだ。


「努力次第でプリンセスにもなれるんだね」


同じように噂話しに耳を傾けていた友人はつぶやく。


そのつぶやきは私の中に衝撃として広がっていく。


努力次第でプリンセスにもなれる……。


私はどうだろう?


裕太のことが好きだと気がついてから、なにか努力をしてきただろうか?


野球部のマネージャーになり、ずっと寄り添って来たつもりだったけれど、できることはそれだけだっただろうか?
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