極上男子短編集

立ち向かう

「裕太! 頑張れ!」


誰よりも大きく声を張り上げる。


文化祭も終わり、またいつもの日常が戻ってきていた。


私は今日も野球部のマネージャーとして精一杯選手たちを応援する。


「ちょっと、あんた」


低く威圧的な声が聞こえてきて顔を向けると、そこには2人のマネージャーが立っていた。


いつになくイラついているようで、こちらをにらみつける目が鋭い。


「なに?」


「勝川くんに馴れ馴れしくしないでって言わなかったっけ?」


そんなことも言われた気がする。


だけどそんなの、私にはもう関係のないことだった。


振られるとしても、全力で努力をしてからだった。


びしょ濡れのプリンセスを見てから、そう心に決めていた。


「どうして?」


聞き返すと2人は驚いたように目を見開いた。


私が反抗的な態度に出るとは思ってもいなかったようだ。
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