極上男子短編集
☆☆☆

今日の裕太は本当にすごかった。


あれからも何度もヒットを飛ばして、練習とは思えないほどの力を発揮したのだ。
まるで一皮剥けたみたいだった。


私は1人選手たちのユニフォームを洗濯しながら、何度も今日の裕太を思い出す。


汗を溜させながらグラウンドを走るその姿を思い出すだけで、私の胸はキュンッと切なくうずいた。


切ないけれど、幸せになる気持ちだ。


できればこの気持を永遠に持ち続けていたい。


「また1人で洗濯か?」


そう声をかけられて勢いよく立ち上がると、洗濯機の横から裕太が顔を出した。


その顔はしっかりと日焼けしていて、オレンジ色に染まるグラウンドの中でもキラリと輝いているように見えた。


それはきっと、裕太の中に揺らがない気持ちがあるから。


それが原石となって、裕太自身を輝かせているに違いない。
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