極上男子短編集
その表情には後悔の色が浮かんできていた。


「じゃあ、じゃああれは裕太の本心じゃなくて?」


勇気を出して質問する。


心臓はドクドクと早鐘をうち始めていた。


「本心のわけないだろ?」


「私はてっきり、裕太は幼馴染の私に飽きてきてて、だから彼女たちと安価よくし始めたと思って……」


裕太はまた目を大きく見開いて左右に首を振った。


「彩奈に飽きるなんて、そんなことありえない!」


大声で言ってから自分が恥ずかしいことを言ってしまったと理解したようで、顔が赤く染まっていく。


それを見ながら胸の中に大きな喜びが浮かんでくるのを感じていた。


裕太は私に飽きていたわけじゃなかった。


新しいものを欲しがっていたわけでもなかったんだ。


ただ、私を守るために……。


途端に隣同士に座っていることを意識してしまって、体に熱を持つ。
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