極上男子短編集
重たい体を引きずるようにして階段を上がっていると、後ろから来た有紗が心配そうに声をかけてきた。


「大丈夫だよ。ただ写真を撮るだけだし」


そう言って笑顔を浮かべて見せたけれど、引きつってしまってうまくいかない。


写真は撮られるだけじゃなく、その後掲示板に張り出されて全校生徒の目に触れてしまう。


そう思うと今更胃が痛くなってきた。


朝のうちに痛くなってくれていればよかったのに。


「少しくらいメークしてくればよかったのに」


いつもと変わらずノーメークな私を見て有紗は少し呆れ顔だ。


「メークなんて似合うわけないよ」


自分の顔くらい、自分がよくわかっている。


こんな凹凸のない薄い顔に化粧をしたって、少しもよくなるわけがない。


「でも、美穂たちはきっと気合を入れてきてるよ?」
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