極上男子短編集
そうなんだろうな。


元々派手な顔立ちをしている美穂と有子がしっかりメークをすれば、もう高校生には見えないだろう。


私が頑張ったところで太刀打ちできる相手じゃないんだ。


鬱々とした気持ちで教室へ入っていくとすでに美穂と有子の2人は登校してきていて、沢山の友達に囲まれていた。


「今日は一段と可愛いね!」


「これならプリンセス間違いなしじゃん!」


きゃあきゃあ騒がれている輪の中心にいる2人へ視線を向けると、思った通りいつも以上に気合の入ったメークをしてきていた。


目はぱっちり大きくて、鼻筋はすっと通っていて、遠くから見てもモデル並のルックスだ。


更にスタイルのよさも手伝っていつもの制服姿だというのに、キラキラ輝いて見えた。


「あ、沙織ちゃんと来たんだ」


教室の入口でぼーっと突っ立っていた私に気が付いて美穂が声をかけてくる。


その言葉に反応してクラスメートたちの視線が集まってしまった。


私は無意識のうちにうつむいて自分の足を見つめる。


「へぇ、今日もメークしてきてないんだ?」
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