極上男子短編集
☆☆☆

憂鬱な写真撮影は昼休憩の時間に行われることになった。


参加者は全員体育館に集まって、ひとりずつ写真を撮られるらしい。


美穂と有子は昼休憩が始まる前までは私のことをさんざんイジっていたけれど、その時間が近づくにつれて真剣な表情になっていた。


何度も手鏡で自分の顔を確認し、メーク直しや髪の毛を整えている。


2人共このイベントに本気で参加するのだということがわかった。


そんな中自分みたいな生徒が混ざっていることがなんだか心苦しい。


「沙織、本当にメークしなくていいの?」


お弁当を食べ終えたタイミングで有紗が心配そうに声をかけてきた。


参加者は全員気合が入っているのに、自分だけスッピンでいることがやはり気がかりだったようだ。


「大丈夫だよ。どうせ投票だって誰もしないんだし」


それに、誰も自分に注目なんてしていない。
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