極上男子短編集
私の写真をそこまで真剣に見る生徒なんているはずがなかった。


「でも、せっかく参加するんだしさ」


そう言う有紗の手にはリップが握られている。


有紗の唇もほんのりピンク色に色づいているから、きっとそれを使っているのだろう。


それでも私は左右に首を振った。


地味な私がリップなんか塗っていたら、それこそ格好の餌食になってしまう。


「本当に大丈夫だから」


私はそう言い、左右に首を振ったのだった。

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