極上男子短編集
しかも相手を怒らせてしまったなんて。


自己嫌悪で泣き出してしまいそうだ。


「別に、謝る必要はないけど、どこに行くんだ?」


そう聞かれてゆるゆると顔を上げた。


さっきまでよりは表情が和らいだ気がする。


最初に謝って正解だった。


「き、教室に戻ろうかと……」


「はぁ? なんでだよ?」


おずおずと返事をするとまた不機嫌そうな表情に戻ってしまった。


「わ、私は参加を辞退したいと思ってて、だから、その……」


とにかくいつのも笑顔に戻ってほしくて一生懸命に説明する。


すると五十嵐浩介はズボンのポケットに手を突っ込んで「辞退? なんで?」と首を捻る。


そんなよくある仕草でも絵になってしまうから、はやりすごい。
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