極上男子短編集
「あぁ。部員は俺ひとり。部活内容はメークアップ」


「メークアップ……?」


「そう。俺、将来はメークアップアーティストになるんだ。そのために勉强中」


そう説明されてようやくこの教室の意味がわかった。


机に並べられているメーク道具の意味も。


「すごいね。そんな夢があるなんて」


私は素直に感心して呟く。


子供の頃は花嫁さんになりたいとか、パン屋さんになりたいとか言っていたけれど、そんな夢はいつの間にか見なくなっていた。


今はただ漠然と大学へ行って、適当な企業に就職するのだろうなと考えているくらいなものだ。


「すごくなんかない。夢を見るだけなら誰でもできる。問題はその後だ。行動するか、しないか」
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