極上男子短編集
司会者の声が頭の中でわんわんとこだましている。


ステージ上の美穂と有子が険しい表情になり、五十嵐浩介が口角を上げて微笑んだ。


なに、これ……？


なにかのドッキリだろうか？


みんなで私を騙しているとか？


頭の中が真っ白なままステージの上に上がらされて、自己紹介をしていた。


体育館内がわっと沸き立つ。


「この中で佐藤さんは地味に移りますが、その実は美少女で……」


司会者の言葉にまた度肝を抜かれる。


美少女？


私が？


そんな言葉永遠に縁のない言葉だと思っていた。


視線を横へ向けると五十嵐浩介が親指を立てて見せた。


その表情は自信に満ち溢れていて、見ているだけでこちらも背筋が伸びていく。


気がつけば私は自然な笑みを浮かべて、ステージ上に立っていた。


美穂と有子がこちらを睨みつけていることに、気がつくこともなく……。
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