極上男子短編集
彼女はスラリとした手足を持っていてスタイルが抜群だ。


もちろん、顔も可愛い。


「あ、ありがとう」


飯田さんに促されて椅子に座ったものの、メーク道具は持ってきていない。


というか、最初から持っていない。


横に4人並んで鏡とにらめっこをしている姿を想像したらちょっとおかしくて、笑ってしまいそうになった。


メークをしない私はすぐに手持ち無沙汰になってテント内をキョロキョロと見回す。


先輩たちもこんな風に緊張感のある中で準備をして、あれだけキラキラ輝くステージに立っていたんだなぁ。


観客たちにはこの裏の雰囲気を見ることは決してできないが、この空間には沢山の努力とドラマが詰まっている。


そう思うと、いつも自分をイジってくる美穂と有子のことも尊敬できる気がした。
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