極上男子短編集
有子の自己紹介が終わると同時に会場内は大きな拍手に包まれた。


男子からも歓声が沸き起こり、有子は自信に満ちた笑顔を浮かべる。


次は美穂だ。


美穂も有子と同じく動揺することなく、堂々と自己紹介をしている。


みんなどうしてそんなに堂々としていられるんだろう。


私はお客さんたちの顔を見ていることも恥ずかしいのに……。


ついうつむいてしまいそうになったとき、隣の飯田さんからマイクが差し出された。


いつの間にか自己紹介を終えてしまったらしい。


慌ててマイクを受け取り、お客さんたちへ視線を向ける。


その瞬間緊張で頭の中が真っ白になってしまった。


とにかく自分の名前だけは言わないとと思えば思うほど焦ってしまう。


「あ、あの、えっと」


口の中だけでもごもごと呟いて要領を得ない。


会場内からはそんな私を見てクスクスと笑い声が起こった。
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