極上男子短編集
思えば、この2人が今まで私になにもしてこなかった方がおかしかったんだ。


写真判定で最終まで残ったときだって、なにもしてこなかった。


もしかしたら、この機会を狙っていたのかもしれない。


なかなか立ち上がることができなくて、会場内のお客さんがざわめき始める。


怪我をしたのではないかと、本気で心配しているようだ。


それなら、そう思ってもらっていた方が良い。


このままコンテストを辞退できるから、


そう思っていたときだった。


スッと目の前に手が差し出されて私は無意識のうちにそれを掴んでいた。


てっきり文化祭実行委員の人が助けてくれたのだと思ったのだ。


けれど視線を上げた瞬間カッと体が熱くなった。


私に手を差し伸べてくれていたのは五十嵐浩介だったのだ。
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