極上男子短編集
みんなはそれに賛同して実行し、有紗はそれを遠くから見ている。


そんな存在だった。


「そういえば、今年は最後の文化祭だからアレがあるね」


急に意味深長な言い方をされて私は少しだけ目を大きく見開いた。


この極上高校では3年生だけが参加できる文化祭のイベントがある。


それは2日間ある文化祭の2日目に、野外ステージで行われる。


最も注目されるイベント。


「今年のプリンスはもう決まっているようなものだけどね」


有紗はそう言ってチラリと教室後方に視線を向けた。


そこには数人の男子が固まっておしゃべりをしていて、その中でもひときわ背の高い目立つ男子がいた。


「五十嵐浩介」


有紗がその名前を呟いた瞬間心臓がドキンッとはねて、咄嗟に顔を前へ向けた。


五十嵐浩介は入学当初から背が高く、カッコイイと噂されている男子だった。


彫りの深い顔は日本人の母親とアメリカ人の父親を持つハーフならではで、色素の薄い瞳は優しげに見える。
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