極上男子短編集
「レイヤ……様?」


無意識のうちに呟く。


男子生徒は「はぁ?」と怪訝そうな声を漏らしたかと思うと、床に転がっていたメガネをかけた。


分厚い黒縁メガネによってレイヤ様の顔がかくされる。


そこに出現したのは昨日図書室で勉強していたあの男子生徒だったのだ。


私は何度もまばたきをして男子生徒を見つめた。


「あ、あんた図書室の……。なんだ、同じクラスだったのか」


男子生徒はぶつぶつ言いながら立ち上がり、制服についたホコリを手で払う。


「あ、あの、大丈夫ですか?」


そう聞いたのは桃だった。


私はまだ呆然としてしまって言葉が出てこなかった。
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