極上男子短編集
「これくらい大丈夫。でも気をつけて歩けよな」
男子生徒は仏頂面をこちらへ向けると、さっさと教室を出ていってしまったのだった。
「今の、誰!?」
ようやく自分たちの席についてから私は桃にそう聞いた。
「誰って、同じクラスのし清水くんだよ」
桃が驚いたように目を丸くして答えた。
清水と杉本ならあいうえお順の名字は近いけれど、男子と女子は机の並び順が逆になっているので今まで気が付かなかったのだ。
「レイヤ様だったよね!?」
清水くんが出ていったドアを見つめてそう聞くと桃はうんうんと何度もうなづいた。
「摩耶が壁になっててしっかりとは見えなかったけど、ちょっと似てると思った!」
「ちょっとどころじゃないよ! あれはレイヤ様本人だよ!」
「えぇ!?」
「きっと、自分の素性を隠してこの極上高校に潜入してきてるんだよ!」
「でも、レイヤ様は二次元だよ? 三次元には――」
『レイヤ様はいないよ』という言葉を聞きたくなくて私は勢いよく耳を塞いだ。
「レイヤ様、もしかして私をさらいにきたんじゃ……!?」
目をハートにして喜ぶ私を見て桃は苦笑いを浮かべたのだった。
男子生徒は仏頂面をこちらへ向けると、さっさと教室を出ていってしまったのだった。
「今の、誰!?」
ようやく自分たちの席についてから私は桃にそう聞いた。
「誰って、同じクラスのし清水くんだよ」
桃が驚いたように目を丸くして答えた。
清水と杉本ならあいうえお順の名字は近いけれど、男子と女子は机の並び順が逆になっているので今まで気が付かなかったのだ。
「レイヤ様だったよね!?」
清水くんが出ていったドアを見つめてそう聞くと桃はうんうんと何度もうなづいた。
「摩耶が壁になっててしっかりとは見えなかったけど、ちょっと似てると思った!」
「ちょっとどころじゃないよ! あれはレイヤ様本人だよ!」
「えぇ!?」
「きっと、自分の素性を隠してこの極上高校に潜入してきてるんだよ!」
「でも、レイヤ様は二次元だよ? 三次元には――」
『レイヤ様はいないよ』という言葉を聞きたくなくて私は勢いよく耳を塞いだ。
「レイヤ様、もしかして私をさらいにきたんじゃ……!?」
目をハートにして喜ぶ私を見て桃は苦笑いを浮かべたのだった。