極上男子短編集

アニメ禁止

レイヤ様そっくりな清水くんの性格が悪かったことは気がかりだったけれど、帰宅してテレビを見ているとそんなことどうでもよくなってしまった。


大好きなアニメを見ることで嫌なことが忘れられるのだから、我ながらいい性格をしていると思う。


録画していたアニメを一気に見終わってホッと息をついたところで、「摩耶、今日小テストがあったんだって?」と、父親に質問された。


せっかくいい気分でアニメの余韻に浸っていたのに一瞬にして現実に引き戻された気分だ。


私はギョッとしてソファに座っている父親へ顔を向けた。


「あら、そうだったの?」


食後のコーヒーを飲んでいた母親が今の話を聞いて近づいてくる。


「あ、あったけど、まだ戻ってきてないよ」


咄嗟に嘘が口をついて出ていた。
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