極上男子短編集
美穂と有子の２人はことあるごとに五十嵐浩介に絡んでいる。


腰をくねらせ、ぶりっ子しながら近づいていくのだ。


そんな２人に五十嵐浩介は明らかに困った表情を浮かべることがあった。


たいてい２人は五十嵐浩介が別の友人と話をしているときでも、おかまいなしに割り込んで行ってしまうからだ。


今もそうだった。


五十嵐浩介は他の友人と話をしていたのに割り込まれてしまい、会話が中断してしまった。


「ちょっと注意してくるね」


有紗はそう言うと私が止める暇もなく教室後方へと大股で歩いていく。


２人の前まで来ると仁王立ちで腕組みをした。


「ちょっと、五十嵐くんが困るようなことはやめなさい」


「はぁ？　困るってなに？」


美穂が眉間に深いシワを寄せて有紗をにらみつける。


私はハラハラしながらその光景を見つめた。


「友達と会話シてたところに割り込んだでしょう？」
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