極上男子短編集
「あ、し、清水くん!?」


まばたきを繰り返してどうにか自分を現実に引き戻す。


カウンターの上の教科書はいつの間にか閉じてしまっていた。


「どうしたんだよお前。なんかいつも以上にぼーっとしてないか?」


どうやら清水くんは私の様子がおかしいことに気が付いて、気にしてくれていたみたいだ。


「ぜ、全然大丈夫!」


無理やり笑顔を浮かべてみたけれど、清水くんは怪訝な顔を浮かべたままだ。


そしてカウンター上にある教科書へ視線を向けて少しだけ目を見開いた。


「勉強してたのか?」


「うん、まぁ、一応」


途中から妄想にふけっていたことは隠しておいた。


すると清水くんはポリポリと頭をかいて「俺のせい?」と聞いてきた。


どういうことなのかわからなくて首をかしげる。


「俺が、昨日のテストをバカにしたから?」


質問し直されてようやく理解した。


清水くんは昨日の自分の態度を気にしていたのだ。
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