極上男子短編集
私は慌てて左右に首をフリ、同時にかの前で手もふって見せた。


「違うよ。これは、その……」


親にアニメを禁止されて仕方なく勉強している。


そんななさけないこと言えなくて口ごもってしまった。


「もしかして、誰か他のヤツにバカにされた?」


バカにされたわけではないけれど、あながち間違えてはいないかもしれない。


けれどここで肯定してしまうと、清水くんはやっぱり自分のせいだと思ってしまうだろう。


昨日クラス内で、あれだけ大きな声で私のテストの点数を叫んだのだから。


「違うよ。親にテストのことで怒られて、アニメ禁止にされちゃったの」


仕方なく素直に事情を説明した。


恥ずかしくて顔が熱くなってきてしまう。


思わずうつむいてしまいそうになったとき、「そっか、それで元気がなかったのか」と呟く声が聞こえてきて。


驚いて顔を上げると納得した様子の清水くんと視線がぶつかった。
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