極上男子短編集
「今日は妙に元気がないと思ってたんだ」


「そ、そうなんだ」


慌てて返事をする。


それって清水くんが私を見てくれていたってこと?


と、質問したかったけれど、できなかった。


ただ心臓がドクドクと早鐘をうち始めるのを感じる。


体がカッと熱くて、清水くんのことを正面から見るのが恥ずかしくなった。


「それなら、俺が勉強見てやろうか」


ふと思いついたようにそう言われた。


「えぇ!?」


私は驚いて顔を上げる。


「そんなに驚くことかよ」


普段からクラスメートや友人に勉強を教えている清水くんからすれば、誰かに勉強を教えることなんて別に特別なことではないようだ。


「で、でもそんなの悪いよ」


清水くんは放課後になると自分の勉強をしている。


その時間を割いてもらうわけにはいかなかった。
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