恋に落ちたら
みのりはどこに行ってしまったんだろう。
俺のことを不誠実だと思ったに違いない。
小さな頃から囚われていたみのりには誠実でありたい、昨日顔を合わせてから高鳴るこの気持ちが爆発してしまいそうだった。
だからついみのりにも好きになって欲しくて密着してしまった。それが仇になり、みのりには慣れてると思われ、さらに追い打ちをかけるように言ってしまったことでみのりには不誠実な遊び人だと思われてしまった。

ああ、やってしまった。
何年も待ち続けていた時がやっときたのに、まさか初めてのデートで俺とは考えられないと言われてしまうなんて。

その場に立ち尽くしてしまったがここは江ノ島。
ここから電車で帰らせるわけにはいかない。
俺は慌てて水族館を飛び出し、みのりに電話をかけたが繋がらない。
駅まで走ったが途中みのりを見つけることができなかった。
焦って何度も電話を鳴らすがそのうち留守番サービスにつながってしまった。
俺は途方に暮れ、水族館への道をとぼとぼと戻るが周りを見渡すと楽しそうな家族やカップルが羨ましくてたまらない。
俺も今日は幸せな1日になる予定だったのに。

ふと視線の先には海岸が見えた。
俺はフラフラと砂浜に向かって歩いていった。

すると若い男2人がみのりに話しかけているのが見えた。
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