恋に落ちたら
仕事中も彼との約束が気になり少し浮ついてしまうが気を引き締め、時間内に終わるようパソコンを打つ手を速めた。
定時の5時半にはなんとか仕事を終え、スマホを見ると悟くんからメッセージが届いていた。
【お疲れさま。近くにいるから終わったら連絡して】
もう近くまで来てるの?
急がなければ、と机を片付け会社を後にする。
エントランスを抜け、外に出てからメッセージを打とうとバッグからスマホを出そうとしていたら目の前から声がかかった。
「みのり」
顔を上げると目の前に悟くんが立っていた。
「ごめんなさい、遅くなりました」
「待ってない。大丈夫。さぁ行こうか」
そう言うと私の手を取り歩き始めた。
会社の前でいきなり手を繋がれ驚いた。誰かに見られたら、と思うと恥ずかしくなりそっと手を離そうとするがさらにギュッと握られてしまう。
どこに行くのかと尋ねるとフルールというイタリアンのお店を予約をしたと言われた。
フルールといえば最近よく雑誌やテレビで特集されている有名なお店。一度は行ってみたいと思っていてもなんとなく敷居が高く、実際には行かないと思っていた。まさかそのフルールだなんて、と驚いてしまった。
「悟くん、よく予約が取れたね。今すごく人気があるんだよ」
「そうみたいだな。シェフと知り合いなんだ。高校からの友達で、あいつが修行に行ってる時もイタリアに様子を見に行くくらいの仲だ。俺としてはあいつがそんなに有名になるなんて思ってなかったんだけどな」
「すごい! 友坂シェフですよね」
「あぁ。友坂に初デートで店に行きたいって言ったらすぐに席を用意してくれたよ」
初デート……。
その言葉に胸の奥がキュンとした。
「その代わりに紹介しろって言われたんだけどさ。どーもーってくらいでいいからな。いい顔もしなくていいから。とにかく挨拶だけであいつには下がるように言ってあるから」
「それは私じゃ恥ずかしいから?」
「バカだな。普通反対だろ。みのりが可愛くてあいつなんかに見せたくないからだろう」
そんなことを急に言われ、顔が熱くなる。
駅のロータリーに滑り込んできたタクシーに手をあげるとドアが開き、私たちは乗り込んだ。
何故かタクシーの中では手を恋人繋ぎに繋がれていたが私はさっきの言葉で頭がいっぱいになり気が付かなかった。
定時の5時半にはなんとか仕事を終え、スマホを見ると悟くんからメッセージが届いていた。
【お疲れさま。近くにいるから終わったら連絡して】
もう近くまで来てるの?
急がなければ、と机を片付け会社を後にする。
エントランスを抜け、外に出てからメッセージを打とうとバッグからスマホを出そうとしていたら目の前から声がかかった。
「みのり」
顔を上げると目の前に悟くんが立っていた。
「ごめんなさい、遅くなりました」
「待ってない。大丈夫。さぁ行こうか」
そう言うと私の手を取り歩き始めた。
会社の前でいきなり手を繋がれ驚いた。誰かに見られたら、と思うと恥ずかしくなりそっと手を離そうとするがさらにギュッと握られてしまう。
どこに行くのかと尋ねるとフルールというイタリアンのお店を予約をしたと言われた。
フルールといえば最近よく雑誌やテレビで特集されている有名なお店。一度は行ってみたいと思っていてもなんとなく敷居が高く、実際には行かないと思っていた。まさかそのフルールだなんて、と驚いてしまった。
「悟くん、よく予約が取れたね。今すごく人気があるんだよ」
「そうみたいだな。シェフと知り合いなんだ。高校からの友達で、あいつが修行に行ってる時もイタリアに様子を見に行くくらいの仲だ。俺としてはあいつがそんなに有名になるなんて思ってなかったんだけどな」
「すごい! 友坂シェフですよね」
「あぁ。友坂に初デートで店に行きたいって言ったらすぐに席を用意してくれたよ」
初デート……。
その言葉に胸の奥がキュンとした。
「その代わりに紹介しろって言われたんだけどさ。どーもーってくらいでいいからな。いい顔もしなくていいから。とにかく挨拶だけであいつには下がるように言ってあるから」
「それは私じゃ恥ずかしいから?」
「バカだな。普通反対だろ。みのりが可愛くてあいつなんかに見せたくないからだろう」
そんなことを急に言われ、顔が熱くなる。
駅のロータリーに滑り込んできたタクシーに手をあげるとドアが開き、私たちは乗り込んだ。
何故かタクシーの中では手を恋人繋ぎに繋がれていたが私はさっきの言葉で頭がいっぱいになり気が付かなかった。