恋に落ちたら
悟くんにとっての大きな決断を日下部の家のせいで振り回してしまったかもしれない。
薬学だけでなく経営の勉強までしてきたと聞き、私はこの結婚を進めなければならないのではないかと感じていた。もう私のわがままだけで『恋に落ちた人と結婚する』なんて甘い考えではいられないと考え直さざるを得ない。このままでは振り回してしまった悟くん自身にも、田神家にも申し訳ない。悟くんが後を継がないので徹くんも迷惑をかけただろう。両家の意志は固まっているのに私のわがままだけでみんなを困らせていると自覚した。
「ごめんなさい。私、悟くんと結婚します。ううん、結婚してください」
私は俯いたまま、スカートの裾を握りしめて彼にプロポーズした。
「うええ?!」
素っ頓狂な声を出す悟くん。
驚き、固まってしまった彼だったが、しばらくすると私の肩を掴んできた。
「みのり。さっきの話聞いてた? 俺は許嫁の話を聞いて日下部製薬の仕事に興味を持ったけれどそれだけじゃない。それに、おじさんたちは後継者が欲しいわけではなく、君に幸せになって欲しいんだ」
「でも、悟くんと結婚することがみんなの幸せになるよね」
「それは裏を返せばみのりは幸せじゃないってことだろう? みのりは恋に落ちて結婚したいんだから今のままでいいんじゃないか? でも、俺がきっと落としてみせるけどな」
ちょっとお茶目な、それでいて目は真剣な彼の顔を見て私は喉の奥がギュッと締まった。
「みのりには俺なしじゃいられなくなるくらい甘やかして、周りを埋めていくからな。覚悟しておけよ」
そんな言葉を初めて言われ、どうしたらいいのか分からずこれ以上彼の顔を見ることができなくなってしまった。
薬学だけでなく経営の勉強までしてきたと聞き、私はこの結婚を進めなければならないのではないかと感じていた。もう私のわがままだけで『恋に落ちた人と結婚する』なんて甘い考えではいられないと考え直さざるを得ない。このままでは振り回してしまった悟くん自身にも、田神家にも申し訳ない。悟くんが後を継がないので徹くんも迷惑をかけただろう。両家の意志は固まっているのに私のわがままだけでみんなを困らせていると自覚した。
「ごめんなさい。私、悟くんと結婚します。ううん、結婚してください」
私は俯いたまま、スカートの裾を握りしめて彼にプロポーズした。
「うええ?!」
素っ頓狂な声を出す悟くん。
驚き、固まってしまった彼だったが、しばらくすると私の肩を掴んできた。
「みのり。さっきの話聞いてた? 俺は許嫁の話を聞いて日下部製薬の仕事に興味を持ったけれどそれだけじゃない。それに、おじさんたちは後継者が欲しいわけではなく、君に幸せになって欲しいんだ」
「でも、悟くんと結婚することがみんなの幸せになるよね」
「それは裏を返せばみのりは幸せじゃないってことだろう? みのりは恋に落ちて結婚したいんだから今のままでいいんじゃないか? でも、俺がきっと落としてみせるけどな」
ちょっとお茶目な、それでいて目は真剣な彼の顔を見て私は喉の奥がギュッと締まった。
「みのりには俺なしじゃいられなくなるくらい甘やかして、周りを埋めていくからな。覚悟しておけよ」
そんな言葉を初めて言われ、どうしたらいいのか分からずこれ以上彼の顔を見ることができなくなってしまった。