恋に落ちたら
18時に仕事が終わると聞いていた。なので私も18時半くらいには会社を出ていたが、何の連絡がないまま既に20時が過ぎていた。
今日はもう無理なのかもしれないと流石に諦め始めた。
社会人である以上仕事を優先するのは当たり前。ましてや悟くんは大切な仕事をしているのだからこういうことあるだろう、と再びメッセージを送ることにした。

【お疲れさまです。今日はもう帰りますね。悟くんも無理せずゆっくり休んでくださいね】

送信したがもちろん既読はつかない。
私は飲み物しか頼んでいなかったため、このままここで食事をしてしまおうとメニューを手にとった。
メッセージは送ったが、もしかしたら食事をしている間に彼から連絡が入るかもしれないと脳裏の片隅でまだ期待してしまう自分がいた。
ペスカトーレとサラダを注文し、私はまた駅の改札をぼうっと眺めていたが悟くんの通る気配はない。
料理が運ばれ、食べ始めるが目線だけは相変わらず改札に向いている。
こんなにも悟くんに今日会いたかったのかなと心の中でクスッと笑ってしまう。
悟くんのことは正直どう思っているのかまだわからない。けれど彼からの連絡を日々心待ちにしている自分がいた。
今日彼に会えなかったのは残念だがさすがにそろそろ諦めようと伝票を持ち席を立ち上がった。
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