恋に落ちたら
翌朝。
まだ部屋で寝ていた私はインターホンの音で目が覚めた。ふと時計を見るとまだ9時を過ぎたばかり。土曜日の朝、誰がこんなに早く来るのかと不思議に思っていると私の部屋がノックされた。

「みのり? 起きてる?」

「あ、うん。今起きた」

「悟くんがきているんだけど……」

母の声に驚いた。
まさか悟くんがうちに来るなんて思ってもみなかった。

「みのり? 出て来れるの?」

ハッと我に返ったが、どう見ても今顔を出せる状態じゃない。

「お母さん、無理だよ。たった今起きたんだもん」

「悟くんがドア越しでいいから少し話したいんですって。ここまで来てもらっていい?」

私に許可をとっているが、すでに彼は階段の下でスタンバイしている様子。断れる雰囲気にはないが本心では絶対に嫌。私が何もいえずにいると母は許可とみなしたのか悟くんに声をかけてしまう。

「悟くん。みのり今起きたみたいなのよ。だから顔を出したくないって言うんだけどドア越しで本当にいいかしら?」

「ありがとうございます。もちろんです。今日約束をしていないのに朝から来てしまったのがいけないんですから。少し話したら帰りますね」

母と話す声が聞こえてきたと思っていたら、悟くんが階段を登ってくる音が聞こえてきた。
ドアを開けるわけではないのに私は緊張し、ベッドの上に座ると布団をぎゅうっと抱きしめた。
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