恋に落ちたら
けれど、逃げて解決するわけじゃない。
それにこのままこうして何も言わずに悟くんから離れることは出来ない。

私は頷くと母は髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。

「みのりはそうでなくちゃ! ハッキリしているのはあなたのいいところだと思うわよ。さぁ、ご飯を食べて力をつけなさい」

「はい」

もう一度髪の毛をくしゃくしゃにされた後、母は部屋を出てキッチンへと階段を降りていった。

私は電源を切っていたスマホをバッグから取り出す。
電源を入れると今まで溜まっていた着信やメッセージの受信が通知された。
着信5件、メッセージ10件……全て悟くんからのものだった。
メッセージを開くと、約束していたのに連絡ができなかったことを詫びるものやちゃんと家に帰り着いているのか心配する物ばかりだった。時間を開け、何度も受信しており真夜中まで続いていた。
心配してくれていたんだと思うと、指の先まで冷たかったのが急に血が通ってくるような、温かなものが流れ込んでくるような感覚にとらわれた。
私は勇気を出して悟くんへメッセージを送った。
< 45 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop