恋に落ちたら
【さっきは来てくれたのに無下に追い返してしまいごめんなさい。仕事だし、仕方のないことなので気にしないでください】
えいっと送信の画面を押すとすぐに既読がついた。
そして、あろうことか直ぐに電話がかかってきてしまう。
スマホを手にしているのは明らかだ。
私は一瞬呆然としてしまったが、直ぐに指をスライドさせた。
「はい……」
『あ、よかった。みのり? 昨日は本当にごめん』
「ううん。仕事柄こういうことがあるってわかってたからいいの」
これは本心。本当に医療職である限り定時で必ず帰れる職業でないことは同じ業界で働いているので普通の人よりも理解があるつもり。
『でも、病院のそばでだいぶ待っていてくれたんだろう? 本当に悪かった。みのりが怒っても仕方ない』
「ううん。本当に気にしないで。それよりも……」
『それよりも?』
言い淀む私に悟くんは次の言葉を待っている。どう説明したらいいのか分からない。 さっき母に言われたよう、正直に伝えるべきなのではないかと思うが言葉にならない。
『みのり?』
「……うん。昨日悟くんは仕事の後、何していたの?」
『仕事の後?』
怪訝な様子で私の言葉の意味がわからないようだ。
「うん。仕事の後……」
『終わった後は家に帰ったよ。スマホを見たらみのりは待ちきれずに家に帰ると連絡が来ていたから、家に帰ってから電話したけど繋がらなかった。だからちゃんと帰り着いてるのか心配になって』
そうじゃない。そんなことが聞きたい訳じゃない。駅で腕を組みながら帰っていたあの女性とのことが聞きたいのに悟くんに言い出せない。このまま悩んでいても解決しない。もともと私は言いたいことを言える性格なはずなのにどうしてこんなにためらうのか。自分らしくない、と思うのだがどうしてこんなに言い出さないのだろう。
『みのり、今日休みだろう? さっき言おうと思ったが今日俺も休みなんだ。シフトを変わってほしいと言われ木曜に急遽出勤したから代休が取れたんだ。だから少し出かけないか?』
「うん」
『お昼ご飯食べに出る感じでいいか? みのりがこの前話していたもんじゃ焼きにいかないか?』
「うん」
さっきうちまでわざわざ来てくれたのに追い返した私を怒ることなく、優しく誘い出してくれる彼の言葉にまた涙がポロポロとこぼれ落ちてきた。私が食べたことがないと言っていたのをちゃんと覚えていてくれる。優しい悟くんの隣にいた女性ことが目に焼き付いて離れず、信じられないという気持ちでいっぱいだ。
悟くんに悟られないよう、流れ落ちてくる涙を拭き続け待ち合わせの約束をした。
12時に家まで迎えにきてくれると言われたが申し訳なくて私から悟くんの最寄駅まで行くことになった。
私は電話を終えると1階のリビングへ下り、母に声をかけた。
「悟くんと連絡をしたら今日会おうって。だから行ってくる」
母は私の手を取ると、
「大丈夫。ちゃんと疑問に思っていることをクリアにしてきなさい」
私は頷くと紅茶とヨーグルトだけ食べ、また支度をするため2階に上がった。
えいっと送信の画面を押すとすぐに既読がついた。
そして、あろうことか直ぐに電話がかかってきてしまう。
スマホを手にしているのは明らかだ。
私は一瞬呆然としてしまったが、直ぐに指をスライドさせた。
「はい……」
『あ、よかった。みのり? 昨日は本当にごめん』
「ううん。仕事柄こういうことがあるってわかってたからいいの」
これは本心。本当に医療職である限り定時で必ず帰れる職業でないことは同じ業界で働いているので普通の人よりも理解があるつもり。
『でも、病院のそばでだいぶ待っていてくれたんだろう? 本当に悪かった。みのりが怒っても仕方ない』
「ううん。本当に気にしないで。それよりも……」
『それよりも?』
言い淀む私に悟くんは次の言葉を待っている。どう説明したらいいのか分からない。 さっき母に言われたよう、正直に伝えるべきなのではないかと思うが言葉にならない。
『みのり?』
「……うん。昨日悟くんは仕事の後、何していたの?」
『仕事の後?』
怪訝な様子で私の言葉の意味がわからないようだ。
「うん。仕事の後……」
『終わった後は家に帰ったよ。スマホを見たらみのりは待ちきれずに家に帰ると連絡が来ていたから、家に帰ってから電話したけど繋がらなかった。だからちゃんと帰り着いてるのか心配になって』
そうじゃない。そんなことが聞きたい訳じゃない。駅で腕を組みながら帰っていたあの女性とのことが聞きたいのに悟くんに言い出せない。このまま悩んでいても解決しない。もともと私は言いたいことを言える性格なはずなのにどうしてこんなにためらうのか。自分らしくない、と思うのだがどうしてこんなに言い出さないのだろう。
『みのり、今日休みだろう? さっき言おうと思ったが今日俺も休みなんだ。シフトを変わってほしいと言われ木曜に急遽出勤したから代休が取れたんだ。だから少し出かけないか?』
「うん」
『お昼ご飯食べに出る感じでいいか? みのりがこの前話していたもんじゃ焼きにいかないか?』
「うん」
さっきうちまでわざわざ来てくれたのに追い返した私を怒ることなく、優しく誘い出してくれる彼の言葉にまた涙がポロポロとこぼれ落ちてきた。私が食べたことがないと言っていたのをちゃんと覚えていてくれる。優しい悟くんの隣にいた女性ことが目に焼き付いて離れず、信じられないという気持ちでいっぱいだ。
悟くんに悟られないよう、流れ落ちてくる涙を拭き続け待ち合わせの約束をした。
12時に家まで迎えにきてくれると言われたが申し訳なくて私から悟くんの最寄駅まで行くことになった。
私は電話を終えると1階のリビングへ下り、母に声をかけた。
「悟くんと連絡をしたら今日会おうって。だから行ってくる」
母は私の手を取ると、
「大丈夫。ちゃんと疑問に思っていることをクリアにしてきなさい」
私は頷くと紅茶とヨーグルトだけ食べ、また支度をするため2階に上がった。