恋に落ちたら
私が頭を撫でるとビクッと驚いている。そのまましばらく撫で続けていると、押し殺した啜り泣く音が聞こえてきた。
「ありがとうございます。俺、陸上が本当に好きなんです。記録に縛られなくない」
「うん……」
「自分が楽しいと思っていないと続かないよ。人に認められたくて、評価された方やってるんじゃなくて自分が楽しいから頑張ってるって思わないと辛くない?」
彼はコクコクと何度も頷く。
「私はね、実は結婚を前提としてお付き合いしている人がいたの。お互い小さな頃から知り合いだったから結婚と言われても納得できなかった。だからお付き合いをしてみようってなったんだけど私は徐々に彼に惹かれていったの。けれど彼が女性と仲良く歩く姿を見てわかったの。彼は経験値の近い私に合わせていただけで、本当はあの女性と付き合っているだって」
「聞いたの?」
「ううん。聞けっこない。でもただの友達が
腕組んで見つめ合いながら歩く?」
「それは……ない、かも」
「そういうこと」
彼に説明していたら自分の頭の中が整理され始めた。
あの2人の雰囲気を見て、ただの他人ですとは思えない。
恋愛がこんなに苦しいものだと知らなかった。悟くんのことが好きになっていたんだと今さら気がついてしまった。彼の優しさに触れなければ良かった。
「お姉さんは泣くくらいその人のことが好きだったんですね。本気だったってことですね」
「まだ胸の中は苦しいけど、いつかは消えるのかな」
「時間が解決するんでしょうね」
私たちはまったりとベンチに座り、ぽつりぽつりと話していたが、だいぶ時間が経っていた。
時間を知らせる鐘が鳴り響いている。
「ごめんね。付き合わせてしまって。でもあなたに会えて、話をすることができて本当によかった。あのまま泣きながら歩いていたらこんな落ち着いた気持ちにはなっていなかったと思うの」
「俺の方こそ、お姉さんと話せて気持ちが落ち着きました。ありがとうございました」
「ありがとうございます。俺、陸上が本当に好きなんです。記録に縛られなくない」
「うん……」
「自分が楽しいと思っていないと続かないよ。人に認められたくて、評価された方やってるんじゃなくて自分が楽しいから頑張ってるって思わないと辛くない?」
彼はコクコクと何度も頷く。
「私はね、実は結婚を前提としてお付き合いしている人がいたの。お互い小さな頃から知り合いだったから結婚と言われても納得できなかった。だからお付き合いをしてみようってなったんだけど私は徐々に彼に惹かれていったの。けれど彼が女性と仲良く歩く姿を見てわかったの。彼は経験値の近い私に合わせていただけで、本当はあの女性と付き合っているだって」
「聞いたの?」
「ううん。聞けっこない。でもただの友達が
腕組んで見つめ合いながら歩く?」
「それは……ない、かも」
「そういうこと」
彼に説明していたら自分の頭の中が整理され始めた。
あの2人の雰囲気を見て、ただの他人ですとは思えない。
恋愛がこんなに苦しいものだと知らなかった。悟くんのことが好きになっていたんだと今さら気がついてしまった。彼の優しさに触れなければ良かった。
「お姉さんは泣くくらいその人のことが好きだったんですね。本気だったってことですね」
「まだ胸の中は苦しいけど、いつかは消えるのかな」
「時間が解決するんでしょうね」
私たちはまったりとベンチに座り、ぽつりぽつりと話していたが、だいぶ時間が経っていた。
時間を知らせる鐘が鳴り響いている。
「ごめんね。付き合わせてしまって。でもあなたに会えて、話をすることができて本当によかった。あのまま泣きながら歩いていたらこんな落ち着いた気持ちにはなっていなかったと思うの」
「俺の方こそ、お姉さんと話せて気持ちが落ち着きました。ありがとうございました」